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トラディショナルなギルディング下地制作 (Making Traditional Gesso for gilding)

先日自分で水和(清和、Slake)した石膏を使って、ギルディング下地用のジェッソ作りです。
今回は、Toni Wattsさんのレシピでジェッソを作りました。

今回は実験のため、同じレシピで、石膏だけ種類を変えていくつか作ってみます。

 

1.道具や材料を揃えます。

8 Parts: Slaked Plaster (Calcium Sulphate Dihydrate):石膏
3 Parts: White lead:鉛白
1 Parts: Seccotine glue (fish glue):魚膠
1 Parts: Sugar:砂糖
A pinch of Armenian bole to color it:アルメニアンボール

※今回は、実験用に少量作りたかったので、1 Part = 1/8 teaspoon (小さじ1/8) で作りました。

 

2.粉類の分量を正しく量ります。

 

3.粉類を乳鉢にいれて細かい細かい粉状にしていきます。

 

4.アルメニアンボールをごく少量入れて色を付けます。

 

5.Fish Glue(魚糊、Seccotine Glue)を混ぜます。

(この写真、間違ってアルメニアンボールを混ぜる前にFish Glueを足そうとしてしまっています)

6.乳鉢ですり混ぜます。

7.ガラス板の上に、乳鉢でねったものを移します。

 

8.マラーでさらにキメの細かい状態にしていきます。

 

9.パレットナイフなどで集めて、タブレット上に乾燥させて出来上がり。
もちろんこのままフレッシュな状態でも使えます。
(この部分の写真を撮り忘れました)

 

10. 実際に使ってみると。。。

 

こんな感じに。
結構簡単にできてしまいますが、材料の中には毒性のあるものもあるので、マスク必須です。
使用した道具を洗うときも、洗い流さず、できるだけペーパーナプキンなどで拭き取って、ゴミとしてすてるようにしたほうがいいでしょう。

次回は、材料による違いの紹介です。

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Slaked Plaster of Paris を作る(伝統的な方法)

先日すでに完成していた現代の方法によるPlaked Plaster of Paris作りに引き続き、ようやく伝統的な方法によるSlaked Plaster of Parisが完成しました。
約1ヶ月かかるこの工程、ちょっと大変でした。

Timothy Noad著の”The Art of Illuminated Alphabet” を参考にしました。

材料、道具
Plaster of Paris 約450g
水(できれば蒸留水)たっぷり
大きめのバケツ
混ぜ棒など

手順

1.Plaster of Paris とバケツを準備

2.バケツに分量の石膏を入れる。
(書籍によっては、先に水を入れ、その中に石膏を振り入れると書かれています)

3.2に水を加え1時間かき混ぜ続ける。

ひたすら、沈殿物がなくなるまでかき混ぜ。。。

そのまま1日置く。

4.1日後。石膏が沈むのでその上澄みの水を捨てて、


5.新しい水を加えて、そしてまたひたすら10分間かき混ぜる。

そのまま一晩置く。

6.4、5を毎日1週間繰り返す。
その後、1日おきに、4,5の作業を3週間続ける。

7.1ヶ月後、上澄みの水を捨てて、コーヒーフィルターで余分な水分を捨てて、トレイに上に広げ完全に乾かす。
水分を取り除ききれず、かなりドロドロの状態です。

8.約1週間後、ようやく完全に乾きました。


9.これらをすり鉢で粉末にします。



10.瓶に密閉保存します。今回量を作りすぎて、一つの瓶に入り切らなかったので、ジップロックで残りを塊のまま保存することに。

完成です。

一生かかっても使い切れないであろう量ができてしまいました。。。どうするんだろう。。。
必要な人に分けようかしら。。。

それで、これから、実際にジェッソを作ってモダンな方法、この伝統的な方法、ボローニャ石膏、ソチーレ石膏でギルディングの比較を始めようと思います。

ただ、この、現代の方法と伝統的な方法において、1日で作るものと1ヶ月かけるものの違いが私には、今はわかっていません。
このことに関して書かれている書籍を見つけました。
Patricia Lovett著 ”Illumination Gold and Colour” です。
この本には、「昔のPlaster of Parisは純度が低く、ゴミなどがかなり混ざっていたため、1ヶ月かけることによって細かいゴミなどを取り除いていた。現在のPlaster of Parisは純度が高いので、1ヶ月も掛ける必要はなく、1回15分の撹拌と、一晩の待ちでいい」と書かれていました。
そのかわり、Plaster of Parisを入れた容器に水を注ぐのではなく、水を張ったバケツに、水を混ぜながらPlaster of Parisを振り入れることで、Plaster of Parisの粒子一つ一つの表面にしっかり水分子をくっつけていくという作業になるそう。これで水和ができる、と。納得のいく説明です。
結局の所、しっかりとPlaster of Parisと水を混ぜ合わせれば、現代の方法よりももっと手軽にSlake(水和)できるということがわかりました。

さて、本当に同じなのか?次は、本格的ジェッソ作りで比較です!



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ヴェラムのストレッチと板張り(Stretch Vellum on Wood board)

今日は羊皮紙(ヴェラム)のストレッチと板張りに挑戦です。

さて、少しだけ羊皮紙について。
羊皮紙といえば、牛、仔牛、羊、ヤギなどなど、いろいろな動物の皮で作られた紙?(紙ではないのだけど。。。)です。獣皮紙ともいいますが、羊皮紙だからといって、羊の皮とは限りません。
ヴェラムとかパーチメントとかといいますが、地域によって呼び名がいろいろです。
牛や仔牛の皮からできたものをヴェラム、それ以外の動物をパーチメントと呼ぶ、というのを一番よく聞きます。

家にあった羊皮紙、何年も前から家にあったもので、「いつか使おう!」と思っているうちに、タイミングを逃し、未だ使っていなかったものです。おそらく牛の羊皮紙だと思うのですが、あまり品質はよくありません。
なので、今回の私にとって新しい方法での板張りに挑戦するにはちょうどいい羊皮紙です。(流石に初回でWilliam Cowleyのパーチメントを使う勇気はありません。。。実はまるまる仔牛1頭分のヴェラムをもっているのですが。。。↓写真)

これがWilliam Cowleyの仔牛1頭分のヴェラム。丸めて保管してあったので、重しをおいて撮影しました。

上質のヴェラムは、実は毛側も肉側もわからないくらいにスムースに処理されています。上の写真のヴェラムも両面が処理されているものです。

通常は片面のみ処理されていることが多く、肉側(Flesh Side)と毛側(Hair Side)でだいぶ質感が異なります。

羊皮紙の種類や加工によりますが、一般に毛側のほうがツルツルで、
肉側のほうはスウェードのように毛羽立っています。

肉側の拡大写真。表面が毛羽立ってザラザラ、スウェードのようです。

毛側。表面はスムースでつるつるしています。
よく見ると、毛穴がたくさんあるのがみえます。

では、うんちくはここまでにして、作業開始です。
これはかなり簡易的なやり方です。

まずは板張りに使う板とヴェラム、板張りの板と同じサイズの水彩紙を用意します。

写真には水彩紙は写っていません)

一番下から、羊皮紙、水彩紙、板の順に置き(羊皮紙と板の間に水彩紙を挟む形になります。この水彩紙は、板の汚れを羊皮紙に付けないためのものです。)、余分な部分をカットします。

四隅をカットしました。

次は、ヴェラムを水にしっかり漬け込んで、水分をたっぷり含ませます。

この写真は漬け込んだ直後。

数分後には。。。

こんな感じに。

※Instagaramにこの記事を掲載したところ、数人の方から、「ヴェラムを水に漬けちゃだめ!」とか「水に漬けなくてもスポンジで水分を与えれば十分」などのご意見をいただきました。
「水に漬けちゃだめ」に関してはなぜかよくわかりませんが、「水に漬けずにスポンジで水分を与えれば良い」というのは私も同感です。
私も普段はヴェラムを水につけることはせず、スポンジやスプレーで水分を与えています。ただ、私の住むエリアはとても乾燥していることもあり、ぜひ一度「漬け込むタイプ」の方法でストレッチ&板張りをやってみたいと思い、今回の実験となりました。

水に漬けたヴェラムを取り出します。

この上に、水彩紙、板を重ねます。

ここからが写真を取りながらの作業が難しくなったため、写真がないのですが、
ヴェラムをしっかりと引っ張りながら、裏側をとめていきます。
今回は、スムースな毛側を使いたいので、肉側、毛側に気をつけて作業します。

私は水貼りテープを使いました。

表側はこんな感じに。

これを2枚の板に挟んで、おもりを乗せて数時間置いておきます。

その後しっかり乾いたら、板張りヴェラムの完成です。

1日後の写真です。

とてもスムースで美しい仕上がりとなりました。

さて、このヴェラムに何を描きましょう?