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ヴェラムのストレッチと板張り(Stretch Vellum on Wood board)

今日は羊皮紙(ヴェラム)のストレッチと板張りに挑戦です。

さて、少しだけ羊皮紙について。
羊皮紙といえば、牛、仔牛、羊、ヤギなどなど、いろいろな動物の皮で作られた紙?(紙ではないのだけど。。。)です。獣皮紙ともいいますが、羊皮紙だからといって、羊の皮とは限りません。
ヴェラムとかパーチメントとかといいますが、地域によって呼び名がいろいろです。
牛や仔牛の皮からできたものをヴェラム、それ以外の動物をパーチメントと呼ぶ、というのを一番よく聞きます。

家にあった羊皮紙、何年も前から家にあったもので、「いつか使おう!」と思っているうちに、タイミングを逃し、未だ使っていなかったものです。おそらく牛の羊皮紙だと思うのですが、あまり品質はよくありません。
なので、今回の私にとって新しい方法での板張りに挑戦するにはちょうどいい羊皮紙です。(流石に初回でWilliam Cowleyのパーチメントを使う勇気はありません。。。実はまるまる仔牛1頭分のヴェラムをもっているのですが。。。↓写真)

これがWilliam Cowleyの仔牛1頭分のヴェラム。丸めて保管してあったので、重しをおいて撮影しました。

上質のヴェラムは、実は毛側も肉側もわからないくらいにスムースに処理されています。上の写真のヴェラムも両面が処理されているものです。

通常は片面のみ処理されていることが多く、肉側(Flesh Side)と毛側(Hair Side)でだいぶ質感が異なります。

羊皮紙の種類や加工によりますが、一般に毛側のほうがツルツルで、
肉側のほうはスウェードのように毛羽立っています。

肉側の拡大写真。表面が毛羽立ってザラザラ、スウェードのようです。

毛側。表面はスムースでつるつるしています。
よく見ると、毛穴がたくさんあるのがみえます。

では、うんちくはここまでにして、作業開始です。
これはかなり簡易的なやり方です。

まずは板張りに使う板とヴェラム、板張りの板と同じサイズの水彩紙を用意します。

写真には水彩紙は写っていません)

一番下から、羊皮紙、水彩紙、板の順に置き(羊皮紙と板の間に水彩紙を挟む形になります。この水彩紙は、板の汚れを羊皮紙に付けないためのものです。)、余分な部分をカットします。

四隅をカットしました。

次は、ヴェラムを水にしっかり漬け込んで、水分をたっぷり含ませます。

この写真は漬け込んだ直後。

数分後には。。。

こんな感じに。

※Instagaramにこの記事を掲載したところ、数人の方から、「ヴェラムを水に漬けちゃだめ!」とか「水に漬けなくてもスポンジで水分を与えれば十分」などのご意見をいただきました。
「水に漬けちゃだめ」に関してはなぜかよくわかりませんが、「水に漬けずにスポンジで水分を与えれば良い」というのは私も同感です。
私も普段はヴェラムを水につけることはせず、スポンジやスプレーで水分を与えています。ただ、私の住むエリアはとても乾燥していることもあり、ぜひ一度「漬け込むタイプ」の方法でストレッチ&板張りをやってみたいと思い、今回の実験となりました。

水に漬けたヴェラムを取り出します。

この上に、水彩紙、板を重ねます。

ここからが写真を取りながらの作業が難しくなったため、写真がないのですが、
ヴェラムをしっかりと引っ張りながら、裏側をとめていきます。
今回は、スムースな毛側を使いたいので、肉側、毛側に気をつけて作業します。

私は水貼りテープを使いました。

表側はこんな感じに。

これを2枚の板に挟んで、おもりを乗せて数時間置いておきます。

その後しっかり乾いたら、板張りヴェラムの完成です。

1日後の写真です。

とてもスムースで美しい仕上がりとなりました。

さて、このヴェラムに何を描きましょう?

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Slaked Plaster of Paris を作る(現代の方法)

ギルディング下地のジェッソ作りで、その材料に書かれている

”Slaked” Plaster of Paris

この “Slaked” というのがどういうものなのか、といろいろ勉強しました。

化学的に正確ではないですが、簡単に書いてしまうと
焼石膏(Plaster of Paris、半水石膏)+ 水 =二水石膏(清和した石膏)
ということのようです。
わざわざPlaster of Parisを購入して、手間をかけて二水石膏にするよりは、最初から二水石膏(ボローニャ石膏、ソチーレ石膏)を購入したほうが楽なように思います。
が、今回、ぜひ多くの古い文献に書かれている、Plaster of ParisのSlake(清和、水和)をしてみようと思い立ち、作業開始することにしました。
伝統的な清和の方法は、制作におよそ1ヶ月かかります。それで見つけたのが、モダンな方法として1日でできるもの。

今日は、その現代の方法を紹介します。これで作った Slaked of Paris がジェッソづくりに向いているかは、完成後にまた別の形で報告します。

 

【材料】
Plaster of Paris 約250g
蒸留水 たっぷり

 

【作業】
1. まず、材料と道具を揃えます。

 

2.Plaster of Paris 250g を計って、バケツなど大きな容器に入れます。
今回は見やすいようにガラスの瓶を使いました。

 

3.蒸留水を1リットル程度加えます。

 

4.5分以上、よく混ぜます。5分程度かき混ぜたら、そのまま蓋をして、
静かなところに10分から15分程度、石膏が底に沈んで、水と分離するまで
置いておきます。(長く置きすぎないこと。石膏が固まってしまうことがあります)

 

5.15分ほど経過した状態。石膏が底に沈み、水が上に浮いてきています。

 

6.この上に浮いてきた水をできる限り捨てて、また新たに1リットル程度の
蒸留水を加えます。

 

7.さらによく混ぜます。最低でも5分は混ぜ続けます。
その後また、蓋をして静かな場所に、10分から15分、
水と石膏が分離するまで置いておきます。

 

8.石膏が沈み、水と分離しました。

 

9.これ(手順6−8)を、Phが中性になるまで繰り返します。リトマス試験紙を使ってチェックします。
最低4回。必要に応じて何回でも繰り返します。多く繰り返す分には全く問題はありません。

 

10.石膏が中性になったら、上澄みの水をできる限り捨てます。
私はコーヒーフィルターを使いました。

 

11.余分な水分を捨てたあと。

 

12.これをベーキングシートを敷いたトレイの上に広げます。
乾燥させたいのでできるだけ薄く広く。

 

13.1日後。まだまだ湿っています。

 

14.5日後。だいぶ乾燥してきました。
でもまだ表面がしっとりしているので、もう少し乾燥させます。

 

今のところはここまで。
しっかり乾燥が終わったら、すり鉢で細かい粉末状にして
ボトルに保存しておきます。
次回は、伝統的な方法の Plaster of Pris の清和の方法をご紹介します。

 

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